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本屋の無い風景
(2006.4/5)
少々私事を。
幼少の頃から、お気に入りの遊び場の一つに「本屋さん」がありました。週末には馴染みの書店を徘徊、一日中書架の前にいることも度々だったものです。とは言っても小学生の行動範囲など知れたもの、当時は大型書店の存在など露も知りませんでしたので、家の近所にある所謂「町の本屋さん」が御贔屓の対象でしたが…。でもそれはそれなりに、目的別に本屋を使い分けたりして愉楽の時間を過ごさせてもらいました。
やがて中、高校生にもなると「近所の本屋」の品揃えには不満を抱き始め、そうした同類項の友人達と共に選択肢は「京都書院」「丸善」「駸々堂」を擁する河原町界隈へと移っていきます。これら三書店を徘徊しているうち、必然的に周辺の専門書店.古書店にも触手は伸びていきました。また、本屋巡りの後に「みゅーず」や「イノダ」「ピッグ&ホイッスル」などで戦利品を閲覧し合うのも大きな楽しみでした。嵯峨から片道40分は一苦労でしたが、書店巡礼の魅力は断ち切り難く、足繁く通ったものです。
流石に大学生になると買い物や夜遊び、バイト場へと河原町に対する役割比重は変わっていきますが、町歩きの楽しみの一つとして「本屋逍遥」は欠かすことの出来ないものでした。従って御池から四条河原町にかけては、私にとって「書店街」としての思い出が強かったりするのです。
しかし、そんな懐旧の談も今となっては文字通り「昔話」となってしまいました。この界隈から新刊書店がすっかり姿を消してしまったからです。特にここ数年の閉店ラッシュ、本(屋)好きにとっては受難としか云い様がありません。
16年末で閉店された河原書房さん。突然の閉店を知った際にはただ呆然、事態が呑み込めず暫く店跡に佇んでしまったのを覚えています。専門書(茶道.華道.古典芸能.美術書)に特化した品揃えはとても新刊書店のそれとは思えぬ程、其故か何となく古書店の気配が漂う店内が好きでした。建築.庭園.京都史料関連の良書も充実、探書の必要がなく何時も重宝させて頂きました。
17年9月で閉店したパパラギ書店さん。旧駸々堂三条店の名残が感じられるドメスティック書店、所謂普通の「町の本屋さん」でした。書籍構成にさほど特色は有りませんでしたが、気軽に立ち寄れる立地の利便性から雑誌.文庫本などをよく購入したものです。閉店後、店先に残された御礼の書き置きにはただ涙…。
17年10月丸善河原町店閉店。最終日には「檸檬」持参で東京から駆け付けました。「駸々堂」「京都書院」と共に、学生時代には最もお世話になった新刊書店でした(その為か、未だに改装前のイメージが強いです)。両書店亡き後、学生時代のノルスタジィに浸れる最後の所処だったのですが…。文具やネクタイ特売のアルバイトをしたことも懐かしい思い出です。
18年1月ブックファースト京宝店閉店。私が京都を離れてからのお店なので、正直それ程思い入れはありませんでした。ただ、駸々堂の残香を感じられる本屋が本当に無くなってしまったのが残念です。
近年における河原町界隈の急激な変貌によりに、古参の新刊書店は寺町二条の三月書房さんと御池下ルのふたば書房くらいになってしまいました。紀伊国屋やジュンク堂の新規参入があるにはあるのですが、あまりに書店街としての凋落が激しく何とも寂しい気持ちでいっぱいです(ジュンク堂に関しては、一寸書架を覗きたい際にわざわざ五階まで上っていく気がせず、紀伊国屋は品揃えの質量共に触手が伸びません)。赤尾照文堂.平安堂.京阪書房.キクオ書店等々、古書店が健在なのは救いですが、目当て無く新刊書店をぶらつきたい気分の時もあるのです。(これら京都の書店変遷は三月書房さんのブログ「三月記(仮)」の2006年07月度ログに記されています。80年代から90年代に京都で学生生活を過ごされた方、必見です!!)
余談ですが、私の実家の近所も本屋は減少の一途を辿っています。健在なのは天龍堂.車折書店くらいで、後は皆無くなってしまいました。かとり書店、鹿王院駅横にあった貸本屋、有栖川書店、太秦厚生会の一階の本屋(ついでに学習塾の近所だった堀川丸太町の星野書店と烏丸のアオキ書店も)…。まぁ御時世を考えれば止むを得ないのでしょうが、何にせよ馴染みの店が無くなるのは寂しい限りです。
なんてコラムを記している間にも又訃報が…。来月(10/14)で、祇園書房さんが閉店されてしまわれるとの事。祇園界隈でご飯食べの際、これから何処で時間調整をすればよいのでしょうか。夕刻前に伺った際に見受けられる花街の本屋っぽい風情も大好きでした…。嗚呼悲しひ。